Interview

まるで小さな“博物館”。六本松1丁目の靴下専門店「How’s That(ハウズザット)」

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六本松一丁目にあるユニークな靴下専門店「How’s That(ハウズザット)」。本日はこちらで、店主の綾部夫妻にお話を伺った。

「How’s That」のここが面白い

・靴下の試し履きが可能。(試し履き用の「新品」を用意している)

・店主は「靴下ソムリエ」所持者。商品を見るだけ、または話を聞くだけや、足の悩みについて相談するだけの来店でも大歓迎とのこと。

・「1組」ではなく1枚からの購入も可能。例えば左右で足の形状が微妙に異なるなど、状況に応じて細かいニーズに対応してくれる。

・店内はさながら「博物館」。靴下製造機のレプリカや、靴下編み機のシリンダーなどを小物として飾り付けている。店内で細かい「パーツ」を探してみるのも面白い。

アパートの一室にある、小さな「靴下専門店」

入り口から見える景色
入り口から見える景色

レトロな街並みが特徴的な「六本松1丁目」にある、小さな靴下専門店「How’s That(ハウズザット)」。
10月にOPENしたばかりの新しいお店だが、店内の雰囲気は洗練されており、つい長居してしまいたくなる心地良さがあった。

また、店主である「綾部夫妻」は、日本一の靴下生産量を誇る「奈良県(広陵町こうりょうちょう)」出身であり、「靴下ソムリエ」をも所持している。

本日はそんな店主夫妻「綾部 舜(あやべ しゅん)」さんと「綾部 光里(あやべ みさと)」さんのお二人から、「How’s That」の魅力を思う存分伺った。

なぜ「靴下専門店」?

店主の綾部夫妻(左:綾部 舜さん、右:綾部 光里さん)
店主の綾部夫妻(左:綾部 舜さん、右:綾部 光里さん)

――靴下専門店をOPENしようと思った理由をお聞かせください。
綾部 舜「僕たち二人は、奈良県広陵町という地場産業が『靴下製造』である場所で育ちました。僕は高校を卒業した後に糸商(糸を販売する商社)に就職し、妻は実家が靴下の編み工場。僕たちと靴下は切っても切れない関係です。僕たちは小学校の頃同じクラスだったこともあったのですが、当時は特に面識がなく、就職した後に仕事で再開しました。」

「そこから二人で“衰退傾向にあるこの業界を、若い僕らで盛り上げていきたい”とよく話すようになりました。靴下業界は、働いている人の年齢も高く、業界自体が収縮傾向にあります。それを打破する為に二人でブランドを立ち上げました。」

「六本松1丁目」を選んだ理由

「六本松1丁目」を選んだ理由

――「この場所を選んだ理由」をお聞かせください。
綾部 舜「出身は二人とも奈良ですが、僕の実家が太宰府で、『福岡に帰ってそこで店を構えたい』という気持ちがずっとありました。そして店舗とする場所を、太宰府だけでなく、糸島や福岡市内等も含めいろんなエリアを見たんですけど、あんまりどこもシックリ来ず・・・。そんな中ここを見させていただいて、他には無い相性の良さを感じました。

「How's That」の入り口は、この階段を昇った先にある
「How’s That」の入り口は、この階段を昇った先にある

――アパートの一室という、本当にユニークな立地ですよね。
綾部 舜「ここって、絶対に商売する場所じゃ無いと思うんですよね。また、今はリフォームしていますが、最初に見た時は『こんなにボロボロなの?!』という状況でした。でも二人とも『ここが良い』というか、『ここじゃないとダメ』というくらいの相性の良さを感じ、迷いなくこちらに決めました。」

――店内のレイアウトもお二人で考えられたんですか?
綾部 舜「そうですね。僕たちと内装屋さんの3人で作りました。専門的な部分は内装屋さんにお願いし、出来るところは僕たちが決めながら進めた感じですね。」

「How’s That」さんの店舗は、住宅街の中心部にヒッソリと構える「MM」というアパートの一室にある。
初見では「ここにお店がある」とは思えないような外観をしているが、近日中にカフェもOPEN予定だったりと、これから盛り上がりを見せる場所であることは間違いないようだ。

あらゆるニーズに対応

一番上に並んでいるのは「ベビーサイズ」の靴下
一番上に並んでいるのは「ベビーサイズ」の靴下

――どういったお客様が多いですか?
綾部 舜「一番多いのは、35~50歳くらいのお客様ですかね。」

綾部 光里「どちらかと言えば、女性の方が少し多いですね。」

綾部 舜「うん、女性の方が少し多いかな。でも、男性一人でふらっと寄られる方もいらっしゃいますね。ただ、僕らはもう、どんなお客様でもウェルカムです。キッズやベビーサイズも用意してるので、親子連れの方でも気軽に来ていただけます。最近では『介護ソックスを作ってほしい』というお声を頂き、そういった少ないニーズにも対応しています。例えば、『持病や事故により一般的な靴下が履けない、でも可愛い靴下、質の高い靴下を履きたい。』など、そういった細かい要望にも出来る限り対応しています。」


素人目には分かり辛いが、こちらの靴下はかかと部が少し特殊な形状をしている。一般的な靴下は、畳んだ時に一枚布のように真っすぐなフォルムになるが、こちらは少したわみが見える。このたわみは、かかと部の縫い目を増やし立体的にすることで生まれるもので、こうすることで、通常の靴下だとズレ落ちやすい人でも安定して履けるのだそうだ。

綾部 舜「また、靴下は一枚からでも販売しているので、例えば『左右で足の形が違う』等のお悩みを持つ方や、『右足だけ破れやすいから3枚欲しい』等のお客様にも、是非ご来店いただきたいですね。」

商品すべてが「1枚」から購入可能
商品すべてが「1枚」から購入可能

ぬくもりのある「日本製の編み機」

店内には、日本に2台しか無い「初期の編み機のレプリカ」がある
店内には、日本に2台しか無い「初期の編み機のレプリカ」がある

――改めて、「How’s That」さんの“強み”を教えてください。
綾部 舜「強みで言うと、日本製の編み機を使って、ゆっくり、じっくり、時間をかけて編み立てている点ですね。一般的には、1台の編み機で一日120~200足程の靴下を編むんですが、そこを僕らは50足に留めています。」

――ゆっくり編むことで、どういうメリットがあるんですか?
綾部 舜「ゆっくり編むということは糸に負担をかけないということなので、糸の特性を活かした靴下になります、その副産物として履き心地が良くなるんですよ。やっぱり靴下をたくさん作っているところは、『いかに素材を少なくするか』や『スピーディーに作るか』にこだわって、『作ること』にこだわらなくなってきてるんですよね。だからこそ、僕たちがそこを徹底して、より履き心地の良い靴下を作り上げるようにしています。」


ここでレプリカの編み機を使って、実際に“靴下編み体験”をさせて頂いた。シリンダーにセットされたたくさんの針が、一つ一つ絡み合って靴下の“筒”の部分を作り上げている点が非常に面白い。

靴下専門店では珍しい、「試し履き」が可能

靴下専門店では珍しい、「試し履き」が可能

綾部 舜「あと、靴下専門店では珍しく、実際に履き心地を試せる商品も用意しています。」

――それは一般的な「靴屋」のように、実際に“試着”が出来るということですか?
綾部 舜「そうですね。全商品ではないけれど、『この商品を試してみたい』と言われた場合、その商品のストックがあれば、実際に履き心地を試して頂けます。」

―― 一応確認したいのですが、それは“試し履き用のサンプルがある”ということですか?
綾部 舜「サンプルというか、『試し履き用の新品を用意している』という感じですね。製品はここに到着する前にも何度も検査するんですが、店舗に届いてから最終検品を行います。数は少ないですが、その時に『販売するのは難しい』と判断された製品もある為、それを『試し履き用』としてストックしています。」

綾部 光里「一度でもお試し頂いた製品は『使い捨て』として扱っていますね。だから『試し履き』でも常に新品の靴下をお試し頂けます。」

一般的な靴下専門店の場合、飾ってあるサンプルを実際に触り、質感を手で確かめる程度しか出来ない。
その為「How’s That」のように、実際に履いて感覚を確かめられるサービスは非常に嬉しい。
また、靴下は靴と違い直に肌に触れる商品である為、試し履きをするとしても気持ち的に抵抗が生まれる。
だから、『毎回必ず新品を試せる』という点もありがたい。

店内はまるで「靴下博物館」

ここで綾部 舜さんより、「広陵町や靴下の紹介冊子」をお見せ頂いた。

広陵町や靴下の紹介冊子

綾部 舜「店内にはこういう冊子も置いてますし、先ほどの『靴下の編み機(レプリカ)』もあります。編み機は実際に触ってみて、どのように靴下が作られるのかを体験して頂くことも出来ます。だから『靴下を買う』とかではなく、『実際に編み機に触れてみたい』など、『博物館に遊びに行く』というような感覚でのご来店も大歓迎ですね。」

実際に舜さんより細かい解説を頂きながらパンフレットを読ませて頂いたが、この時の感覚は正に「博物館」そのもの。
綾部夫妻という「コンシェルジュ」からの濃密な説明を受けながら、靴下に対する理解を深めていけるのは、本当にただただ楽しかった。

靴下用「縫い針」の標本
靴下用「縫い針」の標本。靴下の種類によって、使われる針の種類も変わる

実際の編み機に使われていた「シリンダー」
店内には、本物の編み機のパーツである「シリンダー」が飾り付けとして使われている。初見ではシリンダーだと気付かなかったが、色々と説明を受け、知見を広げた後に改めて見ると、細部のこだわりに気付けて中々面白かった

最後に、読者へのメッセージ

――本日は色々と興味深い話をありがとうございました。最後に、「How’s That」に興味を持たれた方に向けて、メッセージをお願いします。
綾部 舜「立地的に少し入りにくいかもしれませんが、勇気をふり絞って、階段を上がってきてほしい・・・と思ってます(笑)。本当に気軽な気持ちで遊びに来てほしいんですけど、ウチは特に『気軽に』の幅が広いですね。『靴下を見るだけ』や『触るだけ』はもちろん、『編み機を見てみたい』とかでも全然大丈夫です。だから是非、気軽に遊びに来てください。」

靴下専門店「How’s That(ハウズザット)」

●福岡県福岡市中央区六本松1丁目4−11 MM2階202号

●11:00 〜 19:00

●不定休

●公式サイト:https://www.howsthat-shop.com

●instagram:https://www.instagram.com/howsthat_shop

六本松1丁目の、少しレトロな住宅街にひっそりと佇む靴下専門店。近くには「護国神社」や「大濠公園」等の観光名所もあり、散策ついでに立ち寄ってみるのも面白い。公式サイトからのオンライン購入も可能。

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ぱっかんの散歩マップ

実際に僕が伺った場所をまとめた「散歩ログマップ」です

この記事を書いた人

ぱっかん

名前:ぱっかん(@pakkan316

webサイト制作やコンテンツマーケティングの仕事をしています。
大袈裟な旅行よりも小さな散歩が好き。

福岡にはたくさんの有名観光地がありますが、「福岡散歩ブログ」では僕が「何気ないけどちょっとワクワクする」と感じたニッチなロケーションを主に紹介しています。
記事を読み終えた後に「近所をちょっと歩きたくなったな」と思ってもらえるような、そんなメディアでありたい。

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